中級

都市伝説

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「すいません、○○温泉まで」

「…お客さん、そこ数年前から営業してませんが…」

「いいんです、お願いします」

Aはそう言ってタクシーに乗り込んだ。

そして道中、運転手にその場所に向かう理由を話すことにした。

「ここ最近あの廃墟となった温泉地に関する都市伝説が盛り上がってましてね。」

「はあ、そうなんですか。」

「内容はというと、実はものすごく平凡なんですね。

きもだめしに行ったら見知らぬ女が旅館から手を振っていたとか、まあそんなもんです。

ただ、おかしい点が一つある。それはそういった都市伝説が聞かれるようになった時期です。」

「時期?」

「そう。複数あるそれらの都市伝説は実はある時期から同時多発的に聞かれるようになったんですよ。」

「はあ。」

多分に恣意的に。少なくともある種の意思が感じられた訳です。

それに興味がわきましてね、夜中に行くのはまあさすがに怖いんでこの時間なんですけどね(笑)」

「…暗いと何もわかったもんじゃないですからね。」

「ええ、そういうことです。」

「…お客さん、妖怪とか怪談といったものの意義に関して考えたことはおありですか?」

「はい?」

「いえ…着きましたよ。5,200円になります。」

Aはお金を払い、バックからカメラを取出すと鼻歌交じりに車外に出て行った。

ドアが閉まる瞬間、運転手は小さな声でこう呟いた。

「今月で、6人目なんですよ。その話聞いたの。」

-中級

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