中級

たった一人の愛娘

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今日も愛する妻が台所に立つキッチンからは実においしそうな匂いがする。

そして今日も私はいつもと同じくらいの時間に時計を見上げた。

たった一人の愛娘の帰りが、遅い。

私は今日も娘を探しに腰を上げた。

「ちょっとあの子を探してくるよ」

「あなた、それなら私も行きますからちょっとまってくださいね」

忙しそうに食事を作っていた妻が、今日も私の後を追ってくる。

私たちはとりあえず近所の公園を見に行った。

するとブランコの辺りに、案の定娘がいた。

「こんなところにいたのかい。さあ、早く帰らないと夕飯が冷めてしまうよ」

娘は頷いてから私におんぶをせがむ。言われたとおりに背を貸す。本当に可愛い娘だ。

しかし今日に限って、妻が少しだけ不自然な表情を見せている。

「どうしたんだい」と尋ねてみると、彼女は困ったように笑いながら私に語りかけた。

「あなた……その子、娘じゃありませんよ」

-中級

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