中級

たった一人の愛娘

投稿日:

今日も愛する妻が台所に立つキッチンからは実においしそうな匂いがする。

そして今日も私はいつもと同じくらいの時間に時計を見上げた。

たった一人の愛娘の帰りが、遅い。

私は今日も娘を探しに腰を上げた。

「ちょっとあの子を探してくるよ」

「あなた、それなら私も行きますからちょっとまってくださいね」

忙しそうに食事を作っていた妻が、今日も私の後を追ってくる。

私たちはとりあえず近所の公園を見に行った。

するとブランコの辺りに、案の定娘がいた。

「こんなところにいたのかい。さあ、早く帰らないと夕飯が冷めてしまうよ」

娘は頷いてから私におんぶをせがむ。言われたとおりに背を貸す。本当に可愛い娘だ。

しかし今日に限って、妻が少しだけ不自然な表情を見せている。

「どうしたんだい」と尋ねてみると、彼女は困ったように笑いながら私に語りかけた。

「あなた……その子、娘じゃありませんよ」

-中級

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

no image

千羽鶴

高校は離れたんだけど近所の友達 友達っても母親同士が仲良しな位で あんまり付き合いはない そいつが入院したんで見舞いに行った 何で入院したのか知らないんだけど行ったら寝てた 枕元には千羽もない百羽位の …

スクール水着姿の女の子

「んぁ?誰だあれ?」 見ると一人のスクール水着姿の中学生くらいの女の子が、 まるで俺達が来るのを待っていた様に 乗ってきたレンタカーのボンネットに腰掛けていた。 「…こんにちは。これお兄さん達の車?」 …

一年生になったら

一年生になったら 一年生になったら ともだち100人 できるかな 100人で 食べたいな 富士山の上で おにぎりを パックン パックン パックンと [amazonjs asin=”4039 …

悲鳴

外で散歩をしていたら、「キャー!」という女性の悲鳴が聞こえました。 私は驚いて行ってみると 道路で女性が、縦2m・横2m・暑さ50cm程の鉄板らしき物の前に座りこんでいました。 その女性に話を聞こうと …

未来の予言

1980年のある日、 撤去予定された家屋の中を作業員が整理していると、 子供が書いた筆跡があるノートを見つけた。 書いてあった内容は未来の予言のようなもので、 「平成10年 富士山噴火 平成20年 日 …