家族がバラバラ

美紀は食卓の上の残り物を眺めながら、物憂げな表情を浮かべていた。

向かいの席には行儀の悪い弟が食卓に足を投げ出しテレビに目を向けている。

父と母のいる隣の部屋からは紅白歌合戦が聞こえてくる。

今年大流行したアイドルグループの出番のようだ。

弟の行儀の悪さは父親に似たのだろう。

隣の部屋は散らかり放題でグチャグチャ、床には空になった缶ビールが転がり、

耳まで真っ赤にした父親の少し薄くなった頭が視界の端に映る。

その向こうにコタツから頭だけ出して横になった母親が見える。

父親ばかりのせいではないがこの部屋の散らかりようは目に余る。

掃除する人間の身にもなってほしい。

今年になって家族の仲は一層険悪になっていた。

父親の派遣切り、母親のヒステリー、就職浪人の弟。

様々なことが重なり、ここ最近は喧嘩ばかりで家族の溝は深まるばかりだった。

弟と自分は何日も家に戻らないことが多くなり、家族とはすれ違い。

たまに顔を合わせてもそのたびに嫌味ばかり言い合うようになってしまった。

「来年もずっとこの状態は嫌だなぁ」

ふっとそんな考えがよぎる。しかし、そんな事を考えたってどうしようもない。

これまで何度も同じようなことを考えたが、自分から動くことはできなかった。

誰かに助けを求めたいとも思ったが、誰が来ようとこの問題に踏み入ることもできないだろう。

紅白歌合戦が終わってゆく年くる年が始まった。もうすぐ年明けだ。

今年中にはこのギスギスした関係をどうにかしようと思っていたが、もう手遅れだ。

大みそかのこの日、珍しく家族全員が揃っているというのに家族らしい会話も出来やしない。

「このまま家族がバラバラのまま年を越していいのかな?」

座布団の上にデンとのった母親のでかい尻を見ながら美紀はそう思うのだった。

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