上級

古いカメラ

投稿日:

「やるよ」

そう言って親父が俺に渡したのは、古いカメラ

「これにはな、人の死に顔が写るんだよ」

「は?全然面白くねーよ」

親父は黙ったままだった

数ヵ月後、親父は死んだ

急性の心臓発作だった

それから数ヶ月経ち、カメラの話を怖いもの好きの彼女に話してみた

「そのカメラのはなし、本当なの?」

「撮ってみるか?」

「そうしよっか」

おい待て、冗談で言ったんだぞ

だが、後には引けない…

カシャ

「なんだよ、コレ」

俺の顔はいつもと変わらなかったが、彼女の顔が血塗れだった

「なんかイタズラしたんでしょ!?」

もちろんしていない

それに、写真を撮ろうと言ったのはそっちじゃないか

取り乱したまま、彼女は帰ってしまった

…俺が逆の立場だったら、そう思うと責める気にはなれない

数日後、彼女が交通事故で死んだ

聞いた話だが、顔は血塗れだったそうだ

「苦しかっただろうな」

写真を見せて以来、ずっと怯えていたらしい

あの写真を撮らなければもっと楽しく数日生きられたんじゃないか、と考えてしまう

俺は彼女の分も強く生きようと思った

-上級

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

廊下の鏡

俺が昔通ってた小学校は少し田舎にあり、 各学年に一クラスしかないような小さめの学校だった。  そこでは当時「廊下の鏡」って噂が流れてた。  夜中の学校の廊下の真ん中に現れる巨大な鏡。  それを見た者は …

音のない世界

さっき、2万4千円のヘッドホンが突然壊れた。 音楽を大音量で聴き過ぎたせいか、いきなりプチッと音が出なくなった。 俺はムカついて思わずわざとテレビを床に落とした。 ズドンとテレビが床に落ちた振動を感じ …

no image

不思議な自動販売機

ここに1台の自動販売機がある。 誰も通らないような、 民家の路地に設置された不思議な自動販売機である。 値段も不思議で、商品の全てが85円だった。 この自動販売機を使用したのは今までで4人だけだ。 最 …

宝石

ある所に、Aさんという女性がおりました。 Aさんはある日、鬱蒼とした森で、綺麗な宝石が売られていたのでつい、買ってしまいました。 ところが、その日からAさんは、具合が悪くなってしまいました。 何かがお …

会話を再開して下さい。

最初の1人が退場させられると、円卓を囲んでいた彼の椅子もすぐさま片付けられ、4人になった僕たちの頭上からまた放送の声が流れる。 『会話を再開して下さい。』 「…いつまでこんなことやらせんだよ!?」 最 …