心を読む薬

私は学者である。

現在朝の4時、私は叫ばずにはいられなかった。

毎日毎日研究を重ねやっと作り上げた。

相手の心を読むことのできる薬を。

今までいくつも発明してきたが中でもこれはとても素晴らしい出来だ。

ちょうどそこに隣に住む友人が訪ねてきた。

「やっと完成したんだ!!」

私は言う。

「そんな嬉しそうな顔してどうしたんだ?」

「実は相手の目を見るだけで相手の心がわかってしまう薬が出来たんだ!!!一粒使えば1時間,きっかり1時間相手の心を読むことができるんだ!!」

「わかった。まず落ち着け。それはすばらしいな。」

「では使ってみることにしよう!!!」

「どうだ?私の心がわかるか?」

「手に取るようにわかる!君は私の研究を信じていないね?むしろ私に怒りさえ覚えている。」

「そうだ。悪いがもう君には付き合いきれない。あまりに馬鹿馬鹿しいすぎる。毎日のように朝まで君の独り言を聞いていると頭がおかしくなる。しかるべき所へ通報して君には施設へ行ってもらうからな。」

「ちなみに昨日の夕飯は?」

「………」

「そうかわかったぞ。わかったぞ。」

「馬鹿らしい。」

と言うと友人は帰ってしまった。

次の日、学者は家から姿を消した。

「別に信じたわけではない。」

と友人は夕飯を作りながら独り言を呟く。

小さい頃の話

小さい頃の話

日曜の昼、両親が出かけるから留守番してろと言って出て行った

しかし近所の山にカブト虫を取りに行きたい俺は言いつけを無視して山へ

そこは薄暗くて奥の方ではよく首吊りがあるいわゆる名所なんだけど、カブトや

クワガタがよく取れる場所としても有名で、子供で怖がる奴なんかいない場所だった

急いで行ってカブト虫を取って戻れば両親が帰る前に間に合う、と思った俺は

脇目もふらずに自転車で全力疾走、山へ近づいてくるとテンションが上がってきて

角から出てきた車に気がつくのに遅れ、避けようとして派手にこけてしまった

擦りむいて痛かったがとくにひどい怪我はしていない

車も急ブレーキをかけて止まり、中から「大丈夫か!」と人が降りてきたんだが

見るとなんと両親、自分の親の車に轢かれる、というところだったのだ

親は忘れ物を取りに戻る途中だったらしい

「轢いちゃってたらシャレになんないよ、お前には生きて欲しいんだから」

と親は泣き、出かける予定はやめにしてみんなで家に帰った

昨日出所した

昨日出所した。

おれは五人殺したが事件当時は未成年でもあったから、四年程で釈放。

当時はワイドショーを連日騒がせていたんだ。

今は心から反省してるし早く家族を養うために働きたかった。

なぜ二十歳そこらの俺が家族を養うかって?

当然両親は会社クビになってるし、姉は学費払えなくて中退したんだよ。

外出もままならない家族はこの四年間、飯買いに行く時以外は家に籠もりっぱなしさ。

だが貯金もつきてここ半年は塩と水道水だけで生活してたらしい。

さぞ恨まれているだろうと実家に帰ったが、みんな何もなかったかのように振る舞ってくれて涙がでたよ。

母はテレビを見ながら手を叩いて大笑いしてるし、姉は自慢の髪の毛をドライヤーで乾かしながら誰かと電話で話してる。

父はその様子を見ながら隠していた焼酎をチビチビ飲み、ニコニコしていた。

…………俺が早く働かなければ、このまま…………

受験

うちって近所からは仲がいい家族だとか思われてるぽいな。おもしれえ。

オヤジは数年前から仕事がダメになってからは家族に暴力振るってんだよ。

弟はいっつも勉強ばっかしてる俺をこバカにしやがって。お袋と寝てんの知ってんだよ、ボケ。

ババァはいっつも念仏。うるさすぎ。「お前は虫も殺せない優しい子なんだ」とかありえねえ。

全然わかってねえわ。

俺は今から受験なんだよっ。ふざけんな。

こっそり戻ってきたらみんなビビりやがってwww

「兄ちゃん、許して」だって。時間がねえんだよ、ちょろまかと逃げ回りやがって。

顔をかばうからいけないんだよ、バカが。マスもかけねえぞwww

ま、念押ししたからいっか。言ったら叩き割るだけだし。

よし、手紙も書いたし受験してくるわっ。

ぅわっ、手がヌルヌルする。

最期の修学旅行

その日僕は同窓会に行きました

みんなのムードメーカーのA

頭がよくてわからない問題を教えてくれたB

クラスのマドンナでみんなに憧れられてたC

僕はまたこの愉快なメンバーと騒げることに幸せを感じました

わいわいがやがやと思い出を語っているうちについに最期の修学旅行の話になりました

飛行機の中すごかったよな? だってファーストクラスだぜwww

そんな事を話しているといきなり空気が変わりました

なんだと思ってみてみると木曽が・・・木曽?木曽がなぜここに

さっきまで馬鹿騒ぎしていたAもBもCもクラスの皆もそして私もおびえました

木曽は一人ひとりの席の前に行き、水をかけて回っています

木曽が私の前に来たとき思わず叫んでしまいました

「お前はあのときいなかった お前はこの世にいないはずだ」

嫉妬心が強い妻

長年連れ添ってきた彼女と、ついに結婚することになった。

彼女は嫉妬心が強い子で、他の女の子と話をするだけですぐに不機嫌になるんだ。

でも、本人は浮気をまったくしないし、俺だけを愛してるって何度も言ってくれた。

だから俺は、彼女と結婚することに決めたんだ。

挙式を終えて、一戸建てを買って二人の新婚生活が始まった。

妻は毎朝俺を玄関から見送って、夜はかならず料理を作って待っていてくれる。

俺は本当に幸せだった。

そして数年後、妻が初めての子供を孕る。

医者によると女の子だそうだ。

俺は初めてのことで、それこそ大喜びした。

妻も笑顔で自分のお腹をなでて喜んでいた。

やがてお腹もぽっこり出てくるようになり、俺は妻の腹に耳を当てて、もうすぐ生まれてくる我が子の様子が気になって仕方がなくなるようになった。

朝起きたとき、夜帰ったとき、俺は毎日のように妻のお腹から我が子を可愛がった。

ある日、病院から仕事先に一通の電話が鳴った。

妻が流産したのだ。

俺は上司に無理を言って、急いで妻が担ぎこまれた病院に向かった。

そこで俺は、産婦人科の担当医から、流産の事実を聞かされた。

嘘ではなかった。

俺は病室で寝ている妻のところへ向かった。

妻は疲れたような、悲しいような目で窓の外を眺めていた。

俺は「残念だったな・・・」と呟いた。

「・・・そうだね」と妻も呟いた。

その後に、振り絞るような声で、こう続けた。

「でもあたし、また子供つくるよ。 死んじゃったあの子の分も生きられるような、元気な男の子をね・・・」

再生技術

ある日のことだった。俺はバイクで事故を起こし、左足を丸々切断することになってしまった。

意気消沈していた俺だったが、ある研究者から実験の被験者にならないかという話が来た。

それは人体を再生する新技術の実験であり、

ある程度の大きさの細胞から手も足も心臓も再生するというものだった。

これを使って俺の足を再生しようというのだ。

既に動物実験では成功していて危険性は薄いという研究者の熱心な説得や、

もう一度自分の足で歩いてみたいという願望に負けて、俺は結局その提案に乗ることにした。

それ以来、俺はこの研究所で過ごしている。勿論、しっかりと自分の両足で立ってだ。

最初は不安だったが、成功した今となってはやはりこの話を受けて良かったと心から思う。

今はリハビリや副作用の確認の為にここから出られないが、

早くこの姿を家族にも見せてやりたい。

研究者は再生された部位は、前の物と感じが少し違うかもしれないなどと言っていたが、

何も問題は感じないしもう少しでここから出られるだろう。

とはいえ最近、風邪っぽいんだよなぁ。頭痛もするし手も何か痺れるし、

少しリハビリを張り切り過ぎたのかもしれない。

左足だけは調子が良いんだ……左足だけは。

自殺の森

一月ぐらい前の話し、知り合いと、自殺で有名な深い森に行った。

日付が変わる時、森を散策して居たとき、

一台のホロ付き2屯トラックが駐車場に入って来た。

しかも地元Noでは無く関西地方のNo、

荷台から大きな重そうな荷物をおろしてた。

知り合いと駐車場茂みにひたすら息を殺し隠れてた。

トラックの運転手が俺達の車のNoを記録してた。

あの日から、俺達は家に帰って無い。

国民年金

ドンドン

俺はボリボリ頭をかき、眠り眼のまま玄関先に向かう

不快感を露にしながらドアを開けるとそこには

黒縁眼鏡にペッタリとしたポマード臭漂う七三に分けた男が立っていた 

面識はない 新聞の勧誘か すると男は口を開いた

「どうも 私、厚生省から参りました 突然の訪問でご迷惑おかけします

Aさんは国民年金に未加入ですよね」

何だよ 国民年金て 俺、学生だぜ

「はぁ、まだ学生なんで払わないでもいいんじゃないですか」

「いえいえ、20を過ぎたら出来れば収めて貰いたいのです 国民義務

ですから」

「任意って意味ですか」

「まあ、そうですね」

「折角ですが、就職してから払います」

「そう言って社会人になってからも未加入者が増加してるんですよ」

その言葉にむっと来た

「あんた、借金取りか。その社会人とこでも行きやがれ。学生に払う義務なんてねぇんだよ」

「国からの保障も獲られるんですよ・・・・・」

男の言葉が終わる前にドアを閉めた その夜 俺は通り魔に襲われた

命に別状はないが金属バットで殴打された箇所が悪く、この先車椅子を手放すことはないだろう

知人の紹介で重度障害者年金の手続きに向かうと

「すいませんが、Aさんは受けられませんね。20歳を超えて国民年金

に加入していないと国は補償する義務はないんですよ」

黒縁眼鏡にポマードで撫で付けた七三の男は冷笑するように言った

ポマード臭が鼻につく そう言えば、俺をこんな身にした犯人も捕まってはいない。

手掛かりは現場に投げ捨てられていた金属バットだけだがどこぞの学校から盗まれた物らしく、犯人に結びつけるには乏しいとの事だった

ただ学校の私物にしてはにつかわないポマード臭がしていたと言う刑事の話を男の匂いで将来の不安と共に思い出していた

私リサ、6歳。

私リサ、6歳。

リサは最近嬉しいの。だってパパが早く帰ってくるから。

いつもは夜遅いのに、最近は学校から帰ったら毎日おうちにいるの。

いっぱい遊んでもらえるの。だから、リサは今とっても幸せ。

この前はね、パパとママとリサで一緒に洗濯物をたたんだの。

干してあるヤツを部屋に入れて、たたんで、押し入れにしまったの。

リサ、とっても上手にできたんだよ。だからね、今は毎日やってあげてるんだ。

こないだ学校から帰ったらね、パパもママもいないの。

タイクツだからまた洗濯物をたたんであげたの。

でもね、パパとママのズボンはまだたたんでないの。

いつもと違って部屋に干してあったんだけどね、いくら引っ張っても取れないの。

ズボンにくっついてた靴下は取れたんだけどね。

だからまだ部屋にぶら下がったまま。ママに取ってもらわなきゃ。

あ〜、パパとママ遅いなぁ…。おなかもすいたなぁ…。

リサね、もう3日何も食べてないの…。