秀逸

中級

帰省

「おい、まだかよ?」俺は、女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。…ほら翔ちゃん、バタバタしないの!」確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方...
上級

バスを降りなければ・・・

ある家族が妻の実家に遊びに行くために田舎までのバスに乗っていた。山のふもとあたりまできたときに、子供が「おなかへった」とだだをこね始めたので、しょうがなく途中のバス停で降りて近くの定食屋で食事をすることにした。食事が終わり定食屋に設置されて...
上級

怪しい男

私は仕事ですごく疲れ自分のマンションに帰ってきた。高い階に住んでいるのでエレベーターに乗ろうとしたらすでに男が乗っていた。男は帽子を深く被り顔を見せないようにして立っている。「気持ち悪いなぁ」と思ったが仕方がないので軽く挨拶をして乗った。男...
上級

音のない世界

さっき、2万4千円のヘッドホンが突然壊れた。音楽を大音量で聴き過ぎたせいか、いきなりプチッと音が出なくなった。俺はムカついて思わずわざとテレビを床に落とした。ズドンとテレビが床に落ちた振動を感じて俺はふと我に返った。何やってんだ俺は。このテ...
上級

嘘発見機

ある時、父さんが家にロボットを連れてきた。そのロボットは特別で、ウソをついた人の顔をひっぱたくって言う物騒な代物らしい。そんなある日…。僕は学校から帰宅するのがかなり遅くなってしまった。すると父がこう尋ねてきた。「どうしてこんなに遅くなった...