中級

不思議な箱

投稿日:

俺は、人の余命が少し分かるという、不思議な箱を持っている。

と言っても、そんなにすごいものではない。

路地で怪しい商品を販売している男から、面白半分で買ったものだ。

見た目は小さな木箱で、蓋を開けるとデジタル時計のセグが2ケタだけ書かれている。

そのセグは、何もしなければ全て点灯した状態になっている。

しかし誰かに向けてこの木箱をかざすと、セグの表示が変わってデジタル数字を表す。

これは、その人の余命を「分」で表した場合の下2ケタの数を表しているのだ。

例えばこの木箱を誰かにかざしたとき、セグが「32」と点灯したとする。

この場合、その人の余命は32分か、132分か……あるいは100万32分とか、もっと多いのかも知れない。

だから、結局これは暇つぶし程度にしか役に立たない。

今日、海外出張で飛行機に乗り、長いフライトの暇つぶしにこの木箱をいじっていた。

蓋を開け、何の気なしに適当な乗客に木箱をかざしてみる。

ところが、おかしなことにデジタル表示が変化しない。

日本人も、外国人も、誰にかざしても表示がぴくりとも動かないのだ。

ついに壊れたかと思いながら、俺は木箱の蓋を閉じようとした。

その瞬間、数字が「87」と点灯し、

俺はこの木箱が壊れていないということに気づいた。

-中級

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

no image

さっき部屋の障子開けっぱなしで一階に飲み物取りに行った。 洗面所の前を通るのが最短ルートで鏡に何か写った気がしたのね。 ちょっと鏡をマジマジと見つめてたけどさやっぱり勘違いだったみたい。 んで台所行っ …

廃トンネル

今考えると不思議な話。 どう書いていいか説明が難しいが聞いてくれ。 わたしの地元の心霊スポットに廃トンネルがある。 二年前に当時の彼女とそのトンネルに肝試しにいった時。 ガソリンの匂いがする!と彼女が …

兄が殺したのはひとりだけ

兄が狂乱し、家族を皆殺しにした。 すぐに兄は逮捕され、死刑となった。 妹は幸運にも生き延びたが、事件のショックで記憶を失ってしまった。 父も母も失い、記憶もない。 空っぽな心で無気力なまま生きていた妹 …

no image

呪いの真書

呪い真書を手に入れた。冒頭にこう書いてある。 「これに書かれてある手順を実行すると呪いが成就するが、 手順を間違えるとその呪いは自分に返ってきます。あなたはそれでも実行しますか?」 勿論だ。俺には許せ …

霊感

彼には霊感があった。 戦争や殺人のあったところに行くと、必ず見る。 霊なのだろうそいつらは大抵血走った目やうらめしそうな目をしてじとっとこっちを見ている。 今日彼は仕事でとあるビルにいた。 彼の職業は …

PREV
潔癖症
NEXT
病院